SDGs「意識高いね」が作る壁「承認要求が強いが中身が伴っていない人」と悪口みたいに書かれてる…
持続可能な開発目標(SDGs)についての「もやもや」を、活動に取り組む人たちとあらためて話し合った、東京新聞の連載「明日への扉」取材チームによる座談会。詳報の2回目は「意識高い」をテーマにやり取りをまとめた。
SDGs達成に向け取り組む若者は注目を集める一方、「意識高い系」と同世代から言われることもある。ほめてくれているかもしれないけれど、距離を置かれていると感じる言葉だったりもする。この言葉とどう向き合う? 共感を広げていくには? 座談会に集まった若いメンバーが率直な胸の内を明かした。
◆「しばらく話をできなくなった」
鈴木みのり記者 SDGs達成に向け活動していて、関心のない人とのギャップを感じたことや、批判されてむなしさを感じたことはあるか。
芹ケ野瑠奈るなさん(大学生 日本若者協議会) 意識高い系という一言で壁を作られるが、私はその人の興味と合わせて話す。そこで、少しずつ自分の活動を話して自分のできる方法で巻き込んで、イベントに誘ったりする。例えば、昔の皆さんの学校は生徒会に主導権があって「学校を変えていこう」という思いで熱かったかもしれないが、今は、何かを変えようとする経験を持っている若い人たちが少ない。
柳川樹希いつきさん(高校生 学生団体50㎝.) 高校に入ってすぐ学生団体に入って、(周囲に)「入ったんだ」と言ったら「意識高いね」と言われ、しばらくその話をできなくなった。
大橋莉央りおさん(高校生 学生団体50cm.) (SDGs)ウォッシュについて、もともと利益を目的とした行動であっても、結果として環境に貢献している場合は、どうして悪いことと捉えなきゃいけないか疑問。「(人と)同じ行動をしたい」と思ってしまうからこそ、(それと違う行動に対しては)良いことだとしても批判的に思ってしまい、ウォッシュがある意味、悪口になってしまう。意識高い系という発言も、「青春らしいことしていないじゃん、あなた変だよ」、という意味で捉えてしまう。悪気がなくても「私たちが思っていることと違う」というギャップに対して出る発言なのかなと思っている。
SDGsウォッシュ 企業がSDGsに取り組んでいるふりをして、実態が伴っていなかったり、実際の取り組み以上によく見せようとしたりすることを指す。SDGsと、英語で「ごまかす」の意味を持つ「whitewash」を組み合わせた造語。
◆年代のギャップもある?
佐々木成江さん(お茶の水女子大学ジェンダード・イノベーション研究所) 質問いいですか。意識高い系と言われると、自分的にはほめられた気分になる。年代のギャップなのかな。
大橋さん スクールカースト(クラス内で発生する序列)とか、トレンドという言葉もあるが、どうやったらみんなが思う「イケてる」になれるか、を考えてしまう。おしゃれをして、原宿をブラブラ歩いて、が理想かもしれないのに、ごみ拾いしていたら、「イケていない」と思われてしまう。
柳川さん 中学生や高校生はまじめが悪口と捉えられること多い。
芹ケ野さん ウィキペディアで「意識高い」を調べると、「承認要求が強いが中身が伴っていない人、前向き過ぎで空回りしている若者」と書いてある。意識高いねと言われると、いい子ぶっているね、という感じなのかもしれない。
竹内崇たかしさん(ALSOK千葉) SDGsがやっとできたんだから、SDGsを信じるしかない。SDGsを信じて、それをどうひとつひとつ実現するか、しか我々のとる道はない。ウォッシュだとか意識高いだとかは、目的のための過程であって、そこがうまく機能すればいいのかな。
斎藤克希かつきさん(一般社団法人サスティナブル推進協会NAMIMATI) 社会課題に関心ある人に発信するだけではなく、ない人を巻き込む仕組みを作ることが大事だと思っている。(まとめ・鈴木みのり)
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— NewsSharing (@newssharing1) March 28, 2023
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